相続放棄のQ&A

ここでは実際に手続きをする中で見落としがちな注意点をまとめてみました。

申述人の署名押印が必要ですか?

申述書には本人の署名押印が必要です。
申立後、家庭裁判所から照会書が送られてきますが、ここに本人が署名押印して返送するためです。
家庭裁判所としては、この照会書と申述書の署名押印によって本人の確認と意思確認行っていると思われます。
法令上も規定があります。 

被相続人の相続関係に自信がありませんが、大丈夫でしょうか?

特に第二順位以降の相続関係をする場合に影響があります。
第一順位の相続人が全て相続放棄をしなければ相続人にはなりません。
したがって、第一順位の相続人が全て相続放棄が完了しているかどうか、つまりは、被相続人の相続関係を完璧に把握する必要があります。
時々見落としがちなのは、予想外の相続人の存在です。
被相続人が認知をしている場合など、その可能性が高いです。

申述後、家庭裁判所へ行く必要がありますか?

原則、家庭裁判所へ行く必要はありません
申述後、書面で照会があり、それらに回答をすれば済む事がほとんどです。
ごく稀に、非常に複雑な事案においては、審問を実施される可能性は残されていますが、非常に確率は低いと思います。

相続放棄後が完了しましたが、これで大丈夫でしょうか?

家庭裁判所で、相続放棄が受理されると相続放棄の申述受理通知書が届きます。
この段階では、単に家庭裁判所で相続放棄が受理されたに過ぎません。
実務上は、各債権者に個別に通知をする必要があります。
もし仮に債権者から裁判を起こされていれば、必ず裁判上で相続放棄が完了している旨の立証をする必要があります。
そのまま裁判に欠席すると、敗訴の可能性もあります。

被相続人の預貯金を引き出してしまったのですが、大丈夫でしょうか?

原則、相続放棄はできなくなります。
法定単純承認と言われます。
単純承認をしたと同等の行為を行った場合には、単純承認をしたと扱われます。
場合によっては、法定単純承認とならない場合もあります。
諦めなくても良いのですが、間違いなく相続放棄のハードルは上がります 

遺産分割協議をしてしまったんですが、大丈夫でしょうか?

上記と同様、原則、相続放棄はできなくなります。
しかし、借金があることが分かっていれば、遺産分割の結果が違っていた場合やそもそも相続しなかったというような特段の事情がある場合、相続放棄の申述が受理される可能性はあります(大阪高決H10.2.9判タ985・257)。
こちらも、裁判例が分かれている部分ですので、しない方が良いのは間違いないです。

「相続放棄」と「相続分の放棄」の違いは何でしょうか?

相続放棄と似たような言葉に、相続分の放棄というものがあります。
相続分の放棄とは、プラスの財産はいらいないという意思表示です。
相続放棄とは違い、マイナスの財産はいらいないとは言えません

相続分の放棄は、法律に根拠がある訳ではありません。
実務上の取り扱いから生まれたものです。
よく遺産分割調停の手続き等で利用されます。

手続きとしては、相続放棄のように家庭裁判所に書類を提出する必要はありません。
相続分の放棄をする方が、相続分の放棄書に実印をついて印鑑証明を添付すればOKです。
但し、相続分の放棄は、その効果が不明確ですので、実務上では相続分の譲渡というものが利用されることが多いです。

相続放棄の撤回・取消しはできますか?

原則、撤回や取消しはできません。
但し、一定の場合は撤回や取消しが例外的に可能です。
どのような場合に可能かは、法律に列挙されています。
例えば、騙されて相続放棄をした場合、未成年者が親権者の同意を得ずに勝手に相続放棄した場合などです。
この場合、家庭裁判所に対して「相続放棄取消しの申述」をする必要があります。
要するに、家庭裁判所が相続放棄を取り消すかどうかの判をします。
上記の通り撤回や取消しは、例外的な扱いですので、相応の準備をして取消しの申述をする必要があります。


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