剰余金の配当を株主ごとに異なる扱いにしたいのですが・・・。
相談内容
株主に配当をしたいのですが、株主ごとに剰余金の配当のパーセンテージを変えたいと考えています。
そのような扱いは可能でしょうか?
結果
定款を変更し、株主ごとに剰余金の配当について異なる扱いになるようにしました。
コメント
公開会社でない株式会社の場合、以下の3つの事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定める事ができます。
①剰余金の配当を受ける権利
②残余財産の分配を受ける権利
③株主総会における議決権
ただし、上記3つの事項について異なる扱いをするためには、株主総会の特殊決議が必要となります(会社法309④)。
この特殊決議は、原則として総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数をもって決議する必要があり、特別決議よりも頭数要件と議決権要件が厳しくなっています。
上記3つの事項を定款に定めたとしても、登記については種類株式とはみなされず、登記手続きは不要となります。
この規定を利用すれば、以下のようなことも可能となります。
・後継者1人に議決権や配当金を多数・多額に与えること
・株主の持ち株数に応じてではなく、株主の頭数で剰余金の配当を行うこと
・後継者にのみ議決権を与え、その他の株主には剰余金の配当を受ける権利のみ与えること
このように、後継者への事業承継での活用場面が予想されます。