成年後見のメリット・デメリット
Q 成年後見制度を利用するとどんなメリットがありますか?
デメリットはないんですか?
A まずはメリットから。
実際の現場でニーズが多いものを挙げてみます。
① 成年後見人が本人の代理人になれます。
預貯金の入出金ができます。
不動産などの売買ができます(これには条件があります)。
② 本人がした不利な契約を取り消せます。
よくあるのが、訪問販売で大量の健康食品を買ってしまったとか、何社もの新聞社と新聞の契約をしてしまったとか、リフォーム詐欺の契約をしてしまったとか。
③ 家庭裁判所が関与します。
親族や第三者が、本人の財産を搾取していたり、使い込んでいる場合などに、それらを防ぐ事が出来ます。
A 次にデメリット。
① 何と言っても財産処分の自由度が減ることです。
無くなると言っても良いです。
成年後見の大原則は、本人の権利擁護だからです。
財産を出来るだけ維持しながら、収支バランスを整え、生活環境を整え、本人が健康的に生活出来るようにしなければなりません。
ですので、不必要な出費は出来ません。
例えば、本人の孫が大学に入学したから多額の入学祝い金を渡す、ということも難しいです。
慣習というより贈与という側面が強いためです。
これに対して、ご仏前などを支払うのは、慣習の側面が強いので可能なケースは多いです。
また、投資も必要なければ出来ません。
やっぱり投資にはリスクがつきものだからです。
リスクをとってまで財産を増やす必要はありません。
また、例えば相続税対策などをする事も基本的に出来ません。
② もう一つのデメリットは、家庭裁判所が関与する、という点。
あれ?メリットの所にもありましたよね。
これは、あなたの捉え方によります。
裁判所が関与してくれて嬉しいか、煩わしいかです。
本人の財産をきちんと管理して、何もやましい事をしていなくても(当然ですが)、毎年毎年裁判所に報告書を出さなければなりません。
これを煩わしく感じるかどうかです。
我々のような職業の人間にとって、報告書の提出は苦になりません。
ただ、仕事として成年後見業務をしていない人にとっては、煩わしいことになるかもしれません。