不在者財産管理人
不在者財産管理人(相続人が行方不明の場合)
Q「相続人が行方不明なんですがどうしましょう?」
「相続人と連絡が取れないんですけど・・・?」
A.意外に多いですね。
梅谷事務所にも1年に3〜4回は相談があります。
(徐々に増えていると感じます)
この場合、不在者(行方不明者)の代わりに判を押してくれる人を選ぶ必要があります。
不在者財産管理人と呼ばれます。
家庭裁判所に申し立てをして選んでもらいます。
その後、不在者財産管理人を交えて遺産分割協議をします。
不在者財産管理人の選任
家庭裁判所に申し立てをします。
司法書士がなることも多いです。
こういう仕事をしている司法書士はまだ少数です。
梅谷事務所では積極的に受任しています。
流れとして、
①行方不明者を探します。出来る範囲で構いません。
例)
郵便を出す。簡易書留で。最後の住所地に行く。
周辺で聞き込みをする。
賃貸なら大家さんに尋ねる。
生活しているか窺う。電気メーターを見る。郵便ポストの中を見る。
②家庭裁判所に申し立てます。
探したけど見つからなかったという資料を添付します。
③家庭裁判所が調査をします。
現地調査はあまりありません。それは申し立て段階で済ませてしまうからです。
むしろ、関係者へ連絡を取って、聞き取りを行うケースが多いです。
親や子、配偶者(離婚していたら元配偶者)などです。
その他、犯罪歴、出入国履歴、免許証の履歴等、裁判所が調査しているようです。
④調査が終わった頃に、裁判所から予納金を納めて欲しいと連絡があります。
予納金額は様々です。
10数万円〜になることが多いです。
予納金は、あくまで予め納めるお金なので、後で返ってくる可能性はありますが、事件によっては返って来ない事もあります。
⑤不在者財産管理人が選任されます。
遺産分割協議
遺産分割は、不在者財産管理人が裁判所の許可をもらって行います。
ただ、ネックなのは、原則、法定相続分を確保する必要があるということ。
その分、他の相続人の取り分は減ってしまいます。
不在者財産管理人は、不在者の財産を管理する人ですので、不在者の利益を重んじる必要があります。
不在者(行方不明者)にとってみれば、勝手に法定相続分を放棄してもらっては困るわけです。
ちなみに、この管理人が確保した法定相続分の行方はどうなるか?
将来的に、失踪宣告を受け、相続によって処理します。
これが原則的な裁判所のスタンスです。
失踪宣告とは、行方不明者が7年間出て来なければ、死亡した事にみなすという制度です。
これも裁判所に申し立てをする必要があります。
→失踪宣告についてはこちら。