Case
事例
当職と任意後見契約を締結されている方についての事案です。
その方(以下「Aさん」といいます。)とは任意後見契約以外にも任意代理契約を締結しており、当職が月に一度の面会や財産管理、入退院の支援などを行っていました。
そのAさんが施設で転倒され、入院となりました。その後、退院され施設に戻られたのですが、判断能力が著しく低下してしまい、意思疎通を図ることが難しくなってしまいました。
結果
当職が任意後見監督人の申立を行い、任意後見が開始されました。
コメント
任意後見契約とは、判断能力がある間に、将来、判断能力が衰えた時に備え、あらかじめ財産管理を依頼する人(任意後見人)及び代理権を与える内容を定めておく契約のことです。
法定後見制度では、後見人を誰にするのかは家庭裁判所が決定しますので、お願いしたい人がいたとしても、その方が必ずしも選ばれるわけではありませんので、この点で任意後見契約のメリットがあります。
また、任意後見契約は契約を締結した段階ではスタートしません。契約締結後、委託者の判断能力が低下した際に、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任を申立て、任意後見監督人が選任された時にスタートします。
法定後見制度では、後見人の見張り役として家庭裁判所が後見人の業務をチェックしますが、任意後見契約の場合は。家庭裁判所ではなく、任意後見監督人が任意後見人の業務をチェックすることとなります。
任意後見契約はそのものだけの契約をすることも可能です。
ただ、任意後見契約を締結しても、その後、委託者の判断能力の低下を知り、任意後見監督人の申立てをして初めて意味のあるものです。
ですので、任意後見契約は締結した後に、委託者との関わりが重要になります。
例えば、見守り契約や任意代理契約などを利用し、委託者と定期的に連絡が取れるようにしておくことも一つの方法になります。
今回の事案では、Aさんと任意代理契約を締結しており、月に一度の面会を行っていたため、Aさんの判断能力の低下に気づくことができ、任意後見契約をスムーズに発動させることができました。
判断能力がある段階であれば、他にも取りうる手段はありますので、少しでも気になる方はお近くの専門家にご相談されることをお勧めします。
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