Case
事例
当職が成年後見人に就任している方で施設に入居されている方がいらっしゃいます。この方は施設に入居するまではご自宅で生活をされていました。そして、自宅は持ち家ではなく、賃貸物件でした。施設入居はしていますが、賃貸物件の契約はそのままの状態でした。
結果
家庭裁判所から居住用不動産処分許可を受け、賃貸借契約を解約しました。
コメント
成年後見人は成年被後見人の居住場所を確保する必要があります。そのため、成年被後見人の居住に用する不動産を処分するためには、成年被後見人が居住に用する不動産を処分しても居住場所が確保されていることを説明し、家庭裁判所から許可を受ける必要があります。そして、居住に用する不動産とは成年被後見人が所有する不動産だけではなく、賃貸物件も含まれます。
賃貸物件も居住に用する不動産に含まれるため、成年後見人が賃貸借契約を解除する場合も家庭裁判所の許可が必要となります。もし、家庭裁判所の許可を得ずに賃貸借契約を解除してしまうと賃貸借契約の解除は無効となってしまいます。
また、成年被後見人が施設に入居している場合、どういった施設に入居されているのかも家庭裁判所の許可を受ける上で重要な要素になります。施設によっては入居可能期間が短期間の場合があり、施設退去後の居住場所の確保をどうするのかという問題が発生する可能性があるからです。
今回の事案では、成年被後見人が入居されている施設は老人保健施設であり、入居期間が短い施設ではありますが、施設とも話し合い、比較的長期間の居住が可能とのことでした。そして、次の施設を探すことが可能な期間であったため、そういった事情を家庭裁判所に説明し、無事に居住用不動産処分の許可を受け、賃貸借契約の解除ができました。
居住用不動産の処分許可を受けるためには、事案ごとに成年被後見人が置かれている状況を精査し、家庭裁判所にその必要性を説明していくことが重要となってきます。
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