相談解決事例

Case

成年被後見人の両親名義の不動産について

事例

当職が成年後見人に就任している方(Aさん)の事案です。
Aさんは精神疾患により長年、入院生活を送っています。
十数年前にAさんのお父様が亡くなられ、数年前にお母様が亡くなられていました。
Aさんは一人っ子であったため、ご両親の相続に関してはAさんのみが相続人となっていました。
相続財産として、Aさんのご両親が共有されていた不動産がありました。

結果

お父様の相続について、お父様からAさん及びお母様への持分移転登記をし、次いでお母様の相続について、お母様からAさんへの持分全部移転登記を行いました。

コメント

令和6年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続した場合、相続人の名義に登記をする必要があります。
義務化より前に発生した相続も対象となります。

今回のケースでは、Aさんのご両親が共有で不動産を持たれており、お父様→お母様の順番でお亡くなりになられていました。

お父様の相続人はAさんとお母様でしたので、このお二人で相続の手続きをする必要がありました。
相続人が複数の場合、遺産分割で分け方を決めるか法律で決められた割合(法定相続分)で分けることとなります。
ただし、遺産分割を行うためには相続人に判断能力が必要となります。
そのため、相続人の中に認知症などで判断能力がない方がいらっしゃると遺産分割はできなくなってしまいます。

また、相続登記は相続ごとに登記をすることが原則となります。

Aさんはお父様が亡くなられた時点で精神疾患により入院されており、判断能力がない状態でした。
そのため、お父様の相続に関して遺産分割ができず、お母様が亡くなられた後も不動産の名義はご両親の名義のままで変更されていませんでした。
そこで、Aさんの成年後見人として以下の登記を行いました。
①お父様の持分をAさんとお母様に2分の1ずつ移転する登記
②お母様の持分すべてをAさんに移転する登記

今回のケースでは相続人の人数が少なかったため手続きも問題なく行えましたが、相続をせずに放置すると、相続が何件も発生し、その都度相続人が増えていき、手続きが困難になることもあります。
また、令和6年4月1日より相続登記が義務化されます。
義務化以前に発生した相続に関しても対象となりますので注意が必要です。
そのため、相続が発生した場合はきちんと手続きを行う必要がございます。
手続きでお悩みのことがあれば、まずは専門家に相談されることをお勧めします。

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