相談解決事例

Case

成年被後見人が法定相続分を取得しない相続はできますか?

事例

当職が成年後見人に就任している方の事案です。

成年被後見人のAさんは施設で生活されています。
ある日、Aさん宛に相続に関する問い合わせの手紙が届きました。
どうやら、Aさんの亡くなったご主人が相続人となっている昔の相続が手続きがされずに残っていたとのことで、Aさんに協力をしてほしいとのことでした。

結果

家庭裁判所に相談の上、法定相続分を取得しない内容で相続手続きに協力することとなりました。

コメント

成年被後見人等が相続人となる相続が発生した場合、原則としては、成年被後見人等の法定相続分を確保することが求められます。
これは、成年後見制度の主目的が成年被後見人等の財産を保護することとなっているためです。

しかし、それぞれ事情が異なるため、ケースによっては法定相続分を下回る遺産分割協議をすることもあります。

今回のケースでは、以下のような事情からAさんの法定相続分を確保しない内容で遺産分割協議を行うこととなりました。
・相続財産がAさんの生活の本拠から遠く離れた不動産のみであること
・Aさんの法定相続分が金額にすると数万円と僅少であること
・Aさんの財産が十分にあり、収支のバランスが取れていること
・相続の有無によってAさんの生活に支障がないこと
このような事情を踏まえ、家庭裁判所に相談の上、法定相続分を取得しないこととなりました。

成年被後見人を相続人とする相続が発生した場合は、色々な事情を勘案し、遺産分割協議をし、家庭裁判所に相談の上、手続きを進めていくことが重要であると考えます。

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