相談解決事例

Case

尊厳死宣言の公正証書を作成したいのですが…

事例

私は一人暮らしです。持病を抱えており、通院生活を送っております。現在、甥が、私の生活をサポートしてくれております。今後、持病が悪化し、入院したとしても、延命治療等は考えておりません。また、甥にも迷惑をかけたくありません。先日、インターネットで『尊厳死宣言』を公正証書で作成できることを知りました。ぜひ、今後のために作成しておきたいのですが、どうやって作成したらよいでしょうか?

結果

弊所にて、尊厳死宣言の公正証書案を作成し、公証役場にて証書を作成しました。

コメント

尊厳死とは、一般的に「回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせること」をいうものとされています。

尊厳死は、現代の延命医療技術の進歩がもたらした過剰な延命治療を差し控え又は中止し、単なる死期の引き延ばしを止めることであって許されると考えられ、同意殺人罪などの犯罪に該当せず、また、民事上の賠償責任も生じないと考えられてます。

ただし、「尊厳死宣言公正証書」を残していたとしても、医療現場は必ず従わなければならないわけではなく、治療義務がない過剰な延命治療に当たるか否かは医学的判断によらざるを得ない面があります。ですので、尊厳死宣言公正証書を作成したからといって、必ず尊厳死が実現できるとは限りません。もっとも、医療現場でも、尊厳死の考えを理解、受容する医師が増えているとの話もお聞きしますので、「尊厳死宣言公正証書」を残すことに意味が無いわけではありません。

いずれにしても、尊厳死を迎える状況になる前に、あらかじめ担当医師等に尊厳死宣言公正証書を提示する必要がありますので、信頼できる肉親等に尊厳死宣言公正証書の存在をあきらかにし、預けておくのがよいかと思われます。

 

今回の依頼者は、持病が悪化した場合に、甥に迷惑をかけたくないとの思いから、「尊厳死宣言公正証書」の作成を選択されました。甥の方も、依頼者のお気持ちを十分理解され、何かあった場合は、担当医に「尊厳死宣言公正証書」を提示すると仰ってました。

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