相談解決事例

Case

株券発行会社から株券不発行会社へ変更したいのですが。

事例

昭和50年、父が株式会社を設立しました。

このたび、父から会社を引き継ぎました。

登記簿をみると、株券を発行する旨の記載がありました。

父に確認すると、株券などは一切発行していなかったと言っています。

今後、株券を発行する予定もないため、株券不発行会社へ変更したいのですが。

結果

弊所にて、定款変更手続き及び登記手続きを行い、すべての手続きが完了しました。

 

コメント

会社法が施行された平成18年以降、株式会社は原則として株券を発行しない「株券不発行会社」とされています。

 

一方、会社法施行以前の旧商法の時代、株式会社は原則として株券を発行する「株券発行会社」でした。

そのため、昭和50年に設立された今回の会社のように、登記簿上「株券を発行する旨」の定めが残っている企業は現在でも多数存在しています。

 

登記にその記載が残っている限り、会社は株主から株券の交付を求められた場合、これに応じる義務を負います。

株券は有価証券であり、現物の存在を前提とした所有権の移転や、紛失・盗難によるトラブルなど、多くのリスクや手間が伴います。

実務上、株券を発行するメリットはほとんどないため、現在では発行を廃止する会社が一般的です。

 

今回のケースでも、創業者であるお父様の代から実際に株券は一度も発行されておらず、今後もその予定はないとのことでした。

そのため、株券発行の定めを廃止し、法的にも整合性のある形に整えることが望ましいと判断しました。

 

株券発行の定めを廃止するには、以下の手続きが必要です。

 

① 株主総会で「株券を発行する旨の定めを廃止する」定款変更の決議を行う。

② 株券廃止の効力発生日の2週間前までに、公告または株主への個別通知を行う。

※今回は株主が限られていたため、個別通知によって対応しました。

③ 株券発行の定めを廃止する登記を行う。

 

 

上記のとおり、株券の発行をやめるためには、単に社内で方針を決めるだけでなく、法律に基づいた適切な手続きを踏まなければなりません。

現在の実態と登記内容が一致していない法人様は、その整備を進めることをおすすめします。

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