相談解決事例

Case

遺産分割協議書が無いまま、父も母も亡くなりました。

事例

私の家族は父、母、そして私の3人です。父が約10年前に亡くなり、先月母が亡くなりました。母の生前、父の遺産である土地と建物を私のものにするという話し合いを行いました。 ですが、話し合いの際に、「遺産分割協議書」を作成することも、私の名義に変更することもなく今に至ります。この場合に、どうすれば名義変更が行えますか?

 

結果

当時に遺産分割協議をしていたという証明書(遺産分割証明書) を作成することで、土地と建物の名義変更を行うことができました。

 

コメント

まず、法律上、遺産分割協議は要式行為ではないとされています。要式行為とは、一定の方式に従って行わなければ成立しないか、または無効とされる法律行為のことをいいます。例えば、婚姻は婚姻届という書類を作成したうえで役所への届出が必要とされており(民法739条、戸籍法74条)、要式行為の一種です。ただ、前述のとおり、遺産分割協議は要式行為ではないので、どのような方式で行ってもよいことになります。そのため、「遺産分割協議書」が作成されていなくても遺産分割協議自体は有効です。

また、ご相談者様はお母様との協議内容を証明できる相続人です。そのため、ご相談者様がお母様の死後に作成した遺産分割証明書は、登記原因証明情報 (不動産の所有権移転について、登記の原因となる事実や法律行為を証明する書類)としての適格性を有し、ご相談者様の印鑑証明書と一緒に法務局へ提出すれば、登記ができます。

なお、お母様の死後に、ご相談者様とお母様とが協議をすることは不可能ですし、そもそもお母様の生前に協議をしていなかった場合は遺産分割証明書を作ることができないため、お母様の生前に協議をしたという事実は必要となります。

 

以上の通り、説明させていただきましたが、遺産分割証明書をどういった形式で作成し、どういった方式に則って提出するのかは難しい問題です。是非弊所にご相談ください。

 

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