Case
事例
私は、賃貸物件を複数もっています。
最近、付き合いのある金融機関から、
『Aさん(私)が認知症になられて判断能力がなくなった場合、預金がおろせなくなったり、不動産を賃貸したりすることができなくなることはご存知ですか?何か対策はされてますか?』と言われました。
全く対策をしていないと伝えると、金融機関から『家族信託という仕組みがあるので、一度相談してみてはいかがですか?』と提案を受けました。
家族信託とはどういった仕組みで、私は利用できるのでしょうか?
結果
公証役場で、依頼者とご長男の間で財産管理に関する信託契約を結び、ご長男に賃貸物件の管理を任せることになりました。
コメント
家族信託とは、親が元気なうちから子に財産管理を任せる仕組みのことです。
この度は、依頼者が元気なうちに長男に財産管理を任せたいとのご意向でしたので、財産管理に関する信託契約を結ぶことになりました。
また、依頼者が賃貸物件を複数所有されていたため、その管理をご長男がしていくことになりました。
家族信託の仕組みを作っていくには、以下のような流れとなります。
①家族信託を行う目的(趣旨)を検討する
ex.判断能力が低下した場合に備えて、財産を家族に託しておきたい。
親なき後、障害のある子に対して、安定した生活を送れるようにしたい。
②信託契約の内容を決定する
委託者、受託者、受益者、信託財産などを決定する
③信託契約の内容を書面にする
信託の目的を実現するためには、一つ一つの文言が重要となるため、書面にし、確認していく
④信託契約書を公正証書にて作成する
必ず公正証書で作成しなければいけないわけではありませんが、以下の理由により公正証書での作成をおすすめしています。
A、公証人が契約書を確認するため、誤字や表記間違いがない
B、公証人が本人の意思確認を行うため、後日の紛争になりにくい
C、金融機関で信託口口座を作成する際、スムーズに手続きが進む
⑤不動産の名義変更を行う
委託者→受託者への名義を変更する登記手続きを行う
⑥お金を管理する専用口座を作成する
信託財産に現金がある場合は、信託契約締結後、すみやかに「信託専用の口座」に現金を預ける必要があります
理由としましては、受託者には受託者自身の財産と信託財産を分別して管理する義務があるためです。信託された現金は、信託口口座で管理する必要があります。
⑦信託口口座へ送金する
上記①~⑦の流れを依頼者と打ち合わせしながら、進めていくことになります。
この度は、依頼者及びご長男だけでなく、奥様やご長女にも話し合いに関与して頂き、手続きを進めていきました。
家族信託は、家族の協力がなくては、うまく機能しない可能性があります。
そのため、家族信託を導入される際は、ご家族の皆様とお話をさせて頂きながら、進めていくことになります。
※用語解説
委託者…財産を預ける人
受託者…財産を預かり管理する人
受益者…信託財産から経済的利益を受け取る人
信託財産…預ける財産。不動産、現金、未上場株式等
その他相談解決事例