相談解決事例

Case

相続人がいない場合、遺言で寄付できますか?

事例

私(男性)は現在67歳独身です。

 

一昨年、母が亡くなったため、実家に戻り、父と二人で生活することになりました。

 

父は不動産を所有しており、父が亡くなれば、一人っ子である私が相続することになります。

 

将来、私が亡くなった場合、不動産を含む遺産は、全て国に帰属することになると友人から聞きました。

もしそうなるのであれば、残った遺産は、社会福祉に関係する団体に寄付したいと考えています。

こういった遺言を残すことは可能でしょうか?

結果

依頼者と相談した結果、社会福祉協議会に寄付(包括遺贈)することにし、公正証書遺言を作成しました。

コメント

民法は、相続が発生した場合、誰がどの順番で相続人になるのか相続人の範囲(法定相続人)と、相続割合(法定相続分)を規定しています。

 

今回のケースでは、依頼者には、第1順位の配偶者及び子がおらず、第2順位であるお父様が亡くなった場合、第3順位の兄弟姉妹もいないため、相続人がいないことになります。

そうなった場合、遺産は最終的に国庫に帰属することになります。

 

依頼者は、残った遺産を社会福祉に役立ててほしいという強いおもいをお持ちだったため、社会福祉協議会に寄付(包括遺贈)することになりました。

遺言の中で、遺言執行者として司法書士梅谷正太を指定しました。

 

また、社会福祉協議会は、不動産の寄付(物納)を受けることはできないとのことでしたので、不動産を売却し、売却代金を寄付する内容にしました。

このような遺言の内容にする場合、遺言執行者(遺言の内容を実現する人)を定めておくことをおすすめします。

今回のケースですと、相続人が誰もいないため、遺言執行者を定めておかないと、遺言の内容を実現する人がいないため、遺言はあるものの、内容が実現しないままになる可能性があるからです。

 

また、遺言執行者が定められていない場合、利害関係人(相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた者等)から家庭裁判所に遺言執行者選任の申立手続きをすることができます。

但し、費用と時間がかかるため、あらかじめ遺言の中で、遺言執行者を定めて置かれることをおすすめします。

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