Case
事例
当職が保佐人に就任していた方の事例です。
被保佐人のAさん(以下「Aさん」といいます。)は、老人ホームで生活しています。当初、通帳やお金の管理は当職が行っていましたが、有価証券についてはAさん自身で管理したいというお気持ちがあり、Aさんが管理していました。
しかし、Aさんも年齢を重ねられ、しばらく経ってから自分で管理が難しいと感じ、当職に有価証券についても管理をお願いしたいとおっしゃられました
結果
保佐人である当職が申立人となり、家庭裁判所に代理権付与申立を行いました。
その後、家庭裁判所から当職に有価証券について管理する代理権を付与されたため、当職はAさんの有価証券についても管理することになりました。
コメント
最初に保佐人を家庭裁判所に選任してもらう手続き(保佐開始申立)において、代理権を付与を希望する場合、代理行為目録を家庭裁判所に提出する必要があります。代理行為目録とは、被保佐人に代わって保佐人が行う必要がある行為一覧が記載されている書類であり、その中から保佐人に付与する代理権を選ぶことになります。保佐人は代理権が付与されている行為については、被保佐人に代わって行うことができますが、付与されていない行為については行うことができません。
Aさんの場合、預貯金に関する金融機関との取引や保険契約の締結・変更・解除、介護契約その他福祉サービス契約の締結などの代理権は当職に付与されていましたが、Aさんの希望により、株券の保護預かり取引等に関する代理権については付与されておらず、有価証券については管理することができない状態でした。
そのため、当職は家庭裁判所に本人の有価証券を管理する代理権を付与してもらうよう申立書を作成し、家庭裁判所に提出しました。その後、当職に代理権が付与されたため、現在は当職が有価証券を管理しています。
他にも、保佐等開始申立の際に把握できていなかった保険契約などが見つかった場合や、在宅で生活していたため不動産を処分する予定がなかったものの、施設へ入所し不動産を処分する必要が出てきた場合など、被保佐人の状況によって新たに代理権が必要となる可能性があります。
その時の被保佐人の生活状況及び本人の意思を考慮しながら、保佐人として代理権の範囲内で財産を適切に管理する必要があります。
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