Case
事例
母を委託者兼受益者、受託者を長女である私として信託契約を締結していました。
この度、母が亡くなったのですが、信託契約の規定で委託者の死亡で信託契約が終了することになっています。
不動産にも信託の登記がされていますが、登記はどうなりますか?
結果
信託契約に記載されている帰属権利者名義となるよう登記を行い、併せて信託登記の抹消を行いました。
コメント
親子間で認知症対策として作成される信託契約では、委託者兼受益者である親の死亡により信託契約が終了し、受託者である子が残余財産の帰属権利者となるように設計されていることがあります。
今回のケースもそのような信託契約となっていました。
上記のような場合、信託が終了した場合には以下の登記を行うことになります。
・受託者の固有財産となった旨の登記及び信託登記抹消
この登記を行う場合、登記権利者が受託者、登記義務者が受益者となります。
信託法第183条6項において、帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなされます。そのため、帰属権利者=受益者となり、受益者の変更登記を行うことにより、受託者の固有財産となった旨の登記を受託者が単独で申請することができます。
(上記の登記に併せ、委託者の変更登記をするという考え方もあります。)
また、受託者が委託者の相続人である場合、登録免許税が原則であれば所有権移転と同率の1000分の20となるところ、要件を満たせば登録免許税法第7条2項の適用を受けることができ1000分の4となります。
なお、受託者の固有財産となった旨の登記により、これまでの受託者が所有権を取得することになりますが、変更登記扱いとなり、新たな登記識別情報は発行されず、信託登記を行なった際に発行された登記識別情報を継続して使用していくことになる点には注意が必要です。
家族信託は設計時に終わるときのことも考えながら設計する必要があります。
そのため、家族信託を検討される際は、お近くの専門家にご相談いただければと思います。
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