Case
事例
母が認知症を患い、判断能力がなくなりました。そのため、長女である私が成年後見人として財産管理を行っています。
母が所有する自宅不動産に抵当権が設定されており、現在も借入を返済しています。しかし、金利が高いため、他の金融機関に相談したところ、現在よりも低い金利で融資を受けることができることとなりました。
そのため、新たな借入について、母の自宅不動産に抵当権の設定が必要になるのですが、気をつけることはありますか?
結果
自宅不動産への抵当権設定につき、家庭裁判所に許可申立を行い、許可を受けたうえで抵当権設定を行いました。
コメント
成年被後見人の居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可が必要となります。万が一、許可を受けずに処分をすると、処分行為が無効となってしまいます。
また、処分と聞くと売買のイメージが強いですが、抵当権・根抵当権の設定も含まれます。これは、実際に担保権が実行されると、成年被後見人が居住用不動産を失う危険性があるためです。
抵当権・根抵当権設定の許可を申立てる場合、以下のような書類が必要となります。
・許可の対象となる不動産の登記事項証明書
・(根)抵当権設定契約書(案)
・金銭消費貸借契約書(案)
・(根)抵当権設定の必要性、債務者の借入れ及び返済契約の妥当性、本人の意向等について記載した書面及び疎明資料
今回のケースでは、現在の借入と借換え後の成年被後見人の負担を比較し、新たな借入れの妥当性や成年被後見人の生活に支障をきたさないこと、成年被後見人の財産保全に資することを記載した書面を併せて家庭裁判所に許可申立を行いました。
成年後見業務を行う上で色々なケースで悩むことがあるかと思います。
そういった場合は家庭裁判所にお尋ねしたり、専門家に相談した上で手続きを進めていくことをおすすめします。
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