Case
事例
当職が成年後見人に就任している方についての事案です。その方(以下「Aさん」といいます。)は未婚であり、またご兄弟も既に亡くなっており、身寄りのない方でした。
Aさんが亡くなった後、葬儀等を依頼できる親族がいないことやAさんのご両親とご兄弟がお寺に永代供養されていることから、当職は親族と同じように永代供養の手続きを行う必要があると思料しました。
結果
当職は、生前にAさんの永代供養の手続きを行う必要があり、その手続きに関する費用を本人から支出することに問題がないか確認する報告書を作成し、家庭裁判所に提出し、相談の上、成年後見人の裁量で手続きを進めることとなりました。そして、当職は、お寺とやり取りを行い生前に永代供養の手続きを行いました。
コメント
成年後見制度は大前提として被後見人の財産を適切に管理し、守るものであるとされています。 しかし、被後見人の財産は、被後見人のために使うのであれば特に使い道に制限はされておらず、後見人の責任において検討、判断することが必要となります。当然のことですが、金額や支出の必要性、相当性、使うお金と得られる結果のバランスなど、「常識の範囲内」の制約が伴います。
原則的に支出できないものとして、本人からの贈与や寄付行為などがあげられます。事情によって支出できる法事費用や被後見人名義で出す冠婚葬祭のご祝儀や香典などについては、後見人の意見を添えて被後見人の財産から支出することが可能かどうかを家庭裁判所に相談し、指示を仰ぐことが必要となります。
今回のケースでは、本人の葬儀の際のお寺への手配や納骨、永代供養についての費用の金額や支出が必要となった経緯、本人の現在の財産状況などを記載した報告書を作成し、家庭裁判所に提出しました。
他にも、被後見人の生活に関する大きな金額の支出や、被後見人に関する相続手続きなど後見人が判断に迷う場合は、家庭裁判所に相談し、その回答のもと手続きを進めていきます。
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