相談解決事例

Case

成年被後見人死亡後の火葬について

事例

当職が成年後見人に就任している方についての事案です。

その方(以下「Aさん」といいます。)は未婚であり、またご兄弟もいらっしゃらず、身寄りのない方でした。そのため判断能力の低下に伴い、成年後見制度の利用となりました。

その後、当職が成年後見人としてAさんの財産管理を行っていましたが、先日、Aさんの容態が急変し、ご逝去されました。しかし、前述のようにAさんには身寄りがいらっしゃらないため、葬儀を執り行う者がいませんでした。

結果

家庭裁判所の許可を得て、当職が火葬を行いました。

コメント

成年後見人は成年被後見人が存命の間、成年被後見人の財産管理や身上監護を行います。

成年被後見人が死亡した場合、成年後見人の業務は原則として終了することになります。

 

しかし、実際にはAさんのように身寄りのない方や、いらっしゃっても対応できない場合もあります。

民法上、成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限として以下のように規定されています。

 

民法873条の2

 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

 

1相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

2相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

 

今回のケースでは、Aさんには身寄りがなく、相続人もいなかったため、当職が家庭裁判所の許可を得て、Aさんの火葬を行いました。また、火葬後の納骨についても当職が行いました。

幸い、生前Aさんに納骨場所について確認していたので、その場所に納骨をすることができました。

 

成年被後見人が亡くなった後でも成年被後見人の相続財産を相続人等に引き継ぐまでは成年後見人として上記民法の規定に則り、手続きを行っていくことになります。

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