Case
事例
当職が成年後見人に就任している方の事案です。
成年被後見人Aさんは、建物を所有しています。その建物の底地は、Aさんの遠縁にあたるBさんが所有者となっています。実際の使用者はAさんですが、Bさんは長年に渡り、Aさんに代わり土地の維持管理(除草や剪定)や固定資産税の支払いをしてきました。
また、Aさんは現在施設に入所しており、独居生活が困難なため自宅で継続して生活していく可能性はありませんが、帰宅願望が非常に強いため、自宅の維持管理を継続していく必要があります。
Bさんと当職が今後の事について話し合いをしたところ、土地をBさんからAさんに贈与することで権利関係を明白にし、今後は土地建物ともに本人に代わり当職が維持管理していくことが妥当ではないか、とのことになりました。
結果
裁判所と相談し、Bさんから贈与を受けることになりました
コメント
成年後見人は成年被後見人の財産を守る義務があります。そのため、成年被後見人が生活をする上で必要となる理由が無い限り、成年被後見人が不動産を新たに売買で取得することは困難です。
今回のケースではAさんにとって自宅建物は大切な場所であり、Aさんにとって必要となる重要な財産です。しかし、当該建物はBさんが所有する土地の上に建っており、両者の間では特に契約等はない状態であり、権利関係が不明確でした。そこで、権利関係を明白にし、Aさんの財産を適正に管理していく目的で、贈与という形でAさんが底地を取得することになりました。
贈与での取得にあたり、必要となるであろう贈与税、不動産取得税、登記費用などを事前に試算した上で、Aさんの財産や収支と照らし合わせ、贈与にかかる費用がAさんの生活を圧迫しないことを確認し、裁判所に相談しました。
その結果、成年後見人の判断で贈与を受けることに問題はないとの回答を得ました。
このように、不動産の取得が成年被後見人のために必要となる理由があれば取得することは可能です。
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