相談解決事例

Case

法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言執行

事例

当職が遺言執行者に就任している事案です。

 

ご本人様は、生前、自筆証書遺言を作成し、法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用し、自筆証書遺言を法務局に保管されてました。

遺言執行者として、当職が指定されていました。

その後、ご本人様がお亡くなりになられ、法務局より、『遺言書の保管に関する通知』が届きました。

結果

自筆証書遺言の内容に基づいて、遺言執行業務を行い、無事遺言執行手続きが完了しました。

コメント

ご本人様は、財産が遺った場合、地方公共団体へ寄付したいとの意向を遺言に遺されてました。

そこで、ご本人様の遺言内容にしたがって、執行業務をすすめることになりました。

今回、行った執行業務としましては、以下のとおりです。

 

①相続人の調査

⇒調査(戸籍収集)の結果、お二人のお兄様が相続人に該当することが判明しました。

 

②『遺言書情報証明書』の取得

⇒今回のケースでは、法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用されていたため、

 遺言書の検認手続は不要でした。

 ただし、相続手続きをすすめていく上で、遺言の内容を証明していく必要があるため、

 法務局に『遺言書情報証明書』の請求を行いました。

 この『遺言書情報証明書』を請求するには、以下の書類が必要でした。

 ・遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍)謄本

 ・相続人全員の戸籍謄本

 ・相続人全員の住民票の写し(3ヶ月以内)

 

 今回のケースでは、約3日程度で交付されました。

 ちなみに、『遺言書情報証明書』の交付を受けると、法務局から『遺言書情報証明書』を取得した者以外の相続人等に対して、法務局から遺言書を保管していることが通知されます。

  

③遺言執行者に就任した旨を相続人各位へ通知

⇒相続人である、遺言者のお二人のお兄様に対して、当職が遺言執行者に就任した旨及び『遺言書情報証明書』の写しを送付しました。

 

④金融機関等へ通知書送付

⇒遺言執行者に就任した旨を通知しました。

 また、財産目録を作成するため、残高証明書の発行を依頼しました。

 預貯金解約手続きに必要な書類の交付を依頼しました。

 

⑤全遺産の調査・把握と財産目録の作成

⇒金融機関から発行された残高証明書などを確認し、財産目録を作成しました。

 

⑥相続人各位へ財産目録を送付

⇒遺言書執行者は、財産目録を作成して、相続人に交付する義務があるため(民法第1011条)、

 相続人である、お二人のお兄様に財産目録を送付しました。

 

⑦金融機関等の解約手続き

⇒財産目録を送付すると同時に、金融機関の解約手続きを行いました。

 今回のケースでは、相続財産は、預貯金のみで、不動産はありませんでした。

 

⑧受遺者への財産の引き継ぎ

⇒遺言で指定されていた、地方公共団体へ遺産を送金しました。

 

⑨相続人へ遺言執行業務の終了通知書を送付

⇒遺言執行手続きが終了した旨を記載した通知書を、相続人であるお二人のお兄様へ送付しました。

 

今回のケースでは、『遺言書情報証明書』を使用しての、遺言執行業務となりました。

法務局における自筆証書遺言書保管制度が開始されて、まだ1年も経過していませんが、徐々に浸透しつつあるようです。

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