相談解決事例

Case

行方不明の相続人がいるのですが…

事例

この度、母が亡くなりました。相続人は、私(長男)を含め、二男、三男、亡長女の長男の合計4名です。

そのうち、10年前に亡くなった長女には、現在35歳になる一人息子がいますが、10年前に亡長女が亡くなって以来、亡母、私達兄弟及び親戚と一切連絡がとれない状態となり、行方不明の状態です。このような場合、亡母の相続手続きを進めるにはどのようにすればいいのでしょうか?

結果

家庭裁判所に不在者財産管理人の申立をし、亡長女の長男の不在者財産管理人が選任された後、不在者財産管理人と共に遺産分割協議を行い、相続手続きが完了しました。

コメント

まず、亡長女の長男の住所が不明だったため、戸籍の附票を取得しました。その結果、8年前に亡長女の長男の住所が職権消除となっていることが判明しました。

職権消除とは、市区町村が正当な権限等に基づいて、住所を消除することをいいます。

実態調査等の申出などにより、市区町村が住んでいないことを確認した上で職権で住民票等から消除します。職権消除された方は、住所の登録がどこにもない状態となります。

 

亡長女の長男の住所が職権消除となっていたため、これ以上住所を調べることができなかったため、相続人の方々と相談の上、不在者財産管理人の選任申立をすることになりました。

不在者財産管理人とは、従来の住所に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合、家庭裁判所より、利害関係者からの申立てにより、不在者自身や不在者の財産を管理する財産管理人選任し、不在者に代わって、財産の管理や家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって遺産分割や不動産の売却等を行う者のことを言います。

詳細は、以下のホームページをご参照ください。

不在者財産管理人選任=裁判所: http://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top, (参照 2020-03-11)

 

不在者財産管理人を申し立てる場合、不在者財産管理人を選任してもらう際に、予納金を裁判所に納める必要があります。予納金の金額については、不在者財産管理人の業務量に応じて変動します。

東播磨地域周辺の案件では、予納金の額としては金50万円から100万円程度のケースが多いとお聞きします。今回のケースでは、約50万円の予納金を納付するよう、裁判所から指示があり、予納金を納めた後、弁護士の方が不在者財産管理人に就任されました。

その後、相続人の方々と不在者財産管理人が遺産分割協議を行い、長男が不動産を所得し、金融資産は相続人全員で法定相続分で相続する協議内容が決定しました。

不在者財産管理人が選任された場合、不在者財産管理人は、不在者の法定相続分を確保する必要があるため、今回のケースでも、総財産のうち、亡長女の長男の法定相続分である持分4分の1に該当する金融資産を不在者財産管理人の預かり口座に送金し、手続きが完了しました。

 

このように、行方不明の相続人がいらっしゃる場合でも、相続手続きを進めることができる可能性はありますので、あきらめないで下さい。

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