Case
事例
自分たちの地区が氏子となっている神社が3つあるのですが、そのうちの2つの神社のある場所が、氏子が住んでいる地域と離れた場所にあるため、参拝者も減ってしまい、世話をする人も少なくなっています。そのため、将来的に無縁になって神社の維持管理が困難になる前に、この2つの神社をもう1つの大きな神社へ合併させることはできませんか?
結果
必要な手続きを経て、1年半かけて、無事1つの神社に吸収合併させることができました。
コメント
神社(宗教法人)の合併とは、2つ以上の神社が1つの神社になることです。
神社を合併するという言葉を初めて聞く方も多いかと思われます。
しかし、神社であっても、氏子の減少により無縁になってしまう場合もあるため、そのような神社を他の大きな神社の中に移転させることで、無縁になることを防ぐ必要が出てくることがあります。
このように、ある神社が他の神社の中に移転する場合、その移転した神社のことを「境内(けいだい)神社」と呼びます。
よく神社の中に小さい社(やしろ)や祠(ほこら)があるのを見かけることがあると思いますが、それが境内神社です。
神社を合併するためには、クリアしなければならない手続きが数多くあります。
その中でもメインになるのが、神社庁(神社本庁)から承認をもらうことと、県庁から認証をもらうことです。
前者については、神社がなくなるのは重大なことなので、説得力のある文章によって神社合併の必要性を訴える必要があります。各都道府県にある神社庁の審査と神社本庁の審査をクリアする必要があり、これが大きな関門と言えます。
そして、それをクリアすると、後者の県庁からの認証をもらう手続きへと移ります。これは、神社合併が適正な手続きを踏んでなされていることを県庁に認めてもらう手続きになります。
その他の手続きとしては、1つの大きな神社に残り2つの神社が吸収合併される「合併登記」と、吸収される2つの神社が解散をするという「解散登記」が必要です。
神社も宗教法人なので、そのひとつひとつが株式会社のように登記されています。
ですので、株式会社の合併と同様の登記手続きが必要となります。
もう一つ重要な手続きとしては、解散した2つの神社があった境内地を売却するという手続きです。
今回の場合、境内地を不動産会社へ売却してそこを分譲地とすることになり、決済手続き及び土地の所有権移転登記も行いました。
実はこの売却に際しても、神様がいた土地を売るという重大性もあり、土地を売却すること及び神社の社を解体することについて、神社庁の承認が必要でした。
最後に忘れてはならない手続きが、神社には「規則」という会社の定款にあたるものがあるのですが、「神社の中に他の神社が移転してきて境内神社となりました」という規定を置く必要があり、この承認及び認証手続きも行わなければなりません。
これらの他にも、細かな手続きが数多く存在します。
当初想定していた以上に手続きが多くなったこともあり、神社庁や県庁などからアドバイスを受けながら、ひとつひとつの手続きを進めていきました。
大まかには以下の手続きを行いました。
合併承認申請(神社庁)
合併公告(信者、債権者に対して)
合併契約
宗教法人合併認証申請(兵庫県)
合併・解散登記
所有権移転登記
合併・解散届(兵庫県)
合併登記完了報告書(神社庁)
財産処分承認申請(神社庁)
主要建物変更承認申請(神社庁)
財産処分公告
決済
規則変更承認申請(神社庁)
規則変更認証申請(兵庫県)
規則変更完了報告(神社庁)
以上のように、神社庁及び兵庫県に対する申請が多くを占めました。
申請先によって書類の縦書きと横書きの違いがあったり、申請方法についても、神社庁に出す書類をまずは支部長となっている神社の宮司さんに確認してもらうものがあるなど、特殊なものが多いので、申請先の担当の方との打ち合わせは綿密にしておく必要があります。
今回のような神社の合併手続きにおいては、神社庁や県庁に提出する書類は行政書士が行うことができ、合併や不動産の登記手続きは司法書士が行うことができる業務でした。
当事務所では行政書士及び司法書士が在籍しておりますので、全ての手続きをワンストップで行うことができました。
神社の合併は、兵庫県でも近年では例がないような手続きとのことで、非常に貴重な経験をさせて頂くことができました。
神社の合併以外にも、神社の場所を移転する場合や神社所有の土地を売却する場合などで神社庁の承認が必要な場面が出てきますので、適正な手続きを経て神社を運営していくことが大切です。
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