相談解決事例

Case

相続人の中に未成年者がいるのですが?

事例

夫名義の自宅に、私(妻)と夫と子供の家族3人で居住しております。先日、夫が亡くなりました。子供は未成年ですが、自宅の名義を私の単独名義に変更出来るでしょうか?

結果

家庭裁判所で未成年者の特別代理人の選任を行いました。そして、奥様と未成年者の特別代理人とで、ご自宅を奥様が相続する内容の遺産分割協議を行い、名義を奥様に変更いたしました。

コメント

今回の事例の場合、旦那様の相続人は奥様と未成年者のお子様のお二人でした。

ご自宅を奥様名義に変更するためには、本来であれば相続人である奥様とお子様で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を添付して名義変更の登記を行います。

 

しかし、未成年者は単独で有効に法律行為を行うことは出来ず遺産分割協議を行うことは出来ません。

そのため、未成年者の法定代理人が代わりに遺産分割協議を行います。

未成年者の法定代理人は親権者である奥様です。

しかし、今回の事例の場合、奥様とお子様は互いに相続人であり、どちらか一方の利益が他方の不利益になる関係になります。

そのため、奥様がお子様の法定代理人として遺産分割協議を行うことは、お互いの利益が相反する行為(利益相反行為)となり行うことは出来ません。

 

このように、未成年者と法定代理人との間で利害が衝突し法定代理人が未成年者を代理することが出来ない場合は、家庭裁判所で未成年者のために特別代理人を選任し、この特別代理人が未成年者を代理して遺産分割協議を行います。

 

この特別代理人の選任の申立てを家庭裁判所に行う際、遺産分割協議書案も提出しなければなりません。

しかし、今回の事例のように「相続財産を母親だけが取得し未成年者が相続しない」というように、未成年者に不利な内容の場合は、特別代理人の選任が認められない可能性もあります。

 

そのため、今回は奥様が単独で自宅を相続すべき理由を記載した上申書を作成し、特別代理人の選任の申立てに添付いたしました。

 

結果、特別代理人の選任が認められ、無事、遺産分割協議を行いご自宅の名義を奥様名義に変更することが出来ました。

 

また、今回の事例の場合は、旦那様が奥様にご自宅を相続させる旨の遺言書を残されていれば、特別代理人の選任を要せず不動産の名義変更を行うこともできました。

 

もしもの時の備えとして、遺言書は有効な対策となります。

 

相続対策、不動産の名義変更等については早めに専門家にご相談されることをお勧めいたします。

その他相談解決事例