Case
事例
先日、父親が亡くなりました。父親名義の不動産がいくつかあったので相続による名義変更をしたいのですが、不動産の中に山林が見つかりました。特別な手続きは必要でしょうか?
結果
相続による所有権移転登記を行って名義を変更し、さらに管轄の市へ山林を相続したという届出を行いました。
コメント
不動産の所有者が亡くなった場合、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産の名義変更の手続きをしなければ、自動的には名義が相続人に変わることはありません。
その手続きが、相続登記です。
代表的なものとしては、住んでいた家の土地と建物の名義を、被相続人名義から、相続人である妻や子の名義にする場合が該当します。
この相続登記の手続きは、住んでいたご自宅の土地と建物には限られず、所有している全ての不動産について行う必要があります。
もちろん、登記上の地目(土地の用途)が「山林」の場合にもしなければなりません。
「特に活用もしていないし、名義を変えても仕方ない」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、相続による名義変更をしないまま放置をしておくと、将来的に売却できなかったり、いざ名義変更をしようと思っても相続人が増えていて簡単にはできない、ということも起こりえますので、ご自宅の相続登記と同時に必ずしておく必要があります。
この山林については、相続登記が完了した後にもう1つ手続きをしなければなりません。
それは、その山林がある市町村への「森林の土地の所有者届出書」の提出になります。
この届出制度は、森林の所有者が分からないと、行政が森林所有者に対して助言等ができないというような理由によって、森林の土地の所有者の把握を進めるため、平成24年4月に創設されたものです。
対象となるのは登記上の地目が「山林」になっているものに限らず、現況が「山林」となっている場合にも届出が必要な可能性が高いので注意が必要です。
この手続きは、所有者となった日から90日以内に、取得した土地がある市町村に届出を行う必要があります。
そして、相続の場合には、遺産分割が完了していない場合でも、相続開始から90日以内に法定相続人の共有物として届出をする必要があり、その後に遺産分割が完了すれば、そこから90日以内に再度届け出なければなりません。
具体的な書類についてですが、林野庁のページには届出書の様式が掲載されていますので、その届出書に必要事項を記入します。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/todokede/
また、①森林の地図、②森林の登記事項証明書(写しでも可)などを添付することによって、相続によってどの森林の所有者が変わったかを明らかにする必要があります。
この届出を出さなかったり、虚偽の届出をした場合には、10万円以下の過料が科されることもありますので、被相続人が山林を所有していた場合には、忘れずに手続きをするようにしてください。
今回のお客様の場合、登記上も現況も山林でしたので、相続による名義変更の後、管轄の市役所へ届出を提出し、無事全ての手続きが完了いたしました。
山林の他には土地の地目が「畑」や「田」といった農地の場合にも、名義変更後は管轄の農業委員会へ届出が必要になる場合もございます。
弊所では、被相続人の所有している不動産の調査から始めて相続登記手続きを行うことができますので、お気軽にご相談くださればと思います。
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