Case
事例
この度、父が亡くなったので、実家の登記簿を取ってみたところ、実家の土地と建物に抵当権がついていました。内容を確認してみると、明治時代に設定された抵当権のようで、債務者の欄には、50年前に亡くなった祖父の名前が記載されていました。抵当権者の欄には、3名の個人名が記載されていますが、3名とも心当たりがありません。また、このような抵当権がついている事自体、亡くなった父から何も聞いていませんでした。
この抵当権を消したいのですが、そういった手続きを取ることは可能でしょうか?
結果
供託所に供託金を納め、抵当権の抹消手続きを行いました。
コメント
依頼者の方は、実家の土地と建物に抵当権がついていたとは、思いもしなかったそうです。
しかも、債務者の欄に、お祖父様の名前が記載してあったので、余計にびっくりされたそうです。
依頼者によると、曽祖父の代からずっとそこに住んでいたそうです。
抵当権者のお名前も、同姓なので、遠い親戚かもしれないとのことでした。
こういった古い時代に設定された抵当権が残ったままになっているケースは、たまにあります。
古い抵当権がついたままの場合、自宅の売却ができなかったり、融資を受けることができなかったりするなど、不都合が出るケースが多いです。
弁済期から20年以上経過した上で、登記簿上残ったままになっている担保権(抵当権、質権、先取特権等)のことを休眠担保権といいます。
不動産登記法70条3項後段には、一定の条件を満たす場合、土地の所有者のみの申請で抵当権の抹消手続きをすることができるよう、定められています。
要件としては、
①抵当権者の所在が知れないこと
②被担保債権の弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に、被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金額が供託されたこと
の2つが挙げられます。
今回のケースでは、まず、抵当権者の欄に名前が記載されている3名のご住所宛に本人限定郵便で『債権受領催告書』を送付しましたが、「あて所に尋ねあたりません」として、戻ってきました。
次に法務局と打ち合わせを行い、供託金を供託する準備を行いました。
実際に供託する日を決め、その日に向け、法務局及び依頼者と打ち合わせを行い、供託日にオンライン申請にて、無事に供託手続きをすることができました。
供託手続きが完了した後、法務局に抵当権抹消の申請手続きを行い、無事登記が完了しました。
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