相談解決事例

Case

先日父が亡くなったのですが、父より前に亡くなった祖父名義の不動産の名義変更はできますか?

事例

先日父が亡くなり、不動産の名義変更をしたいのですが、すでに亡くなっている父方の祖父名義のままの不動産も残っています。どうすればよいでしょうか。

結果

遺産分割協議の関係者全員に話を取りつけ、無事に一度の手続きで名義変更をすることができました。

コメント

本件は、依頼人の父(Cとします)の相続だけでなく、Cの父(Aとします)の相続発生時の手続きも済んでいませんでした。

井口さん解決事例.jpg

例えば、上記の関係図のようなケースで、依頼人Eが不動産を相続したい場合を考えてみてください。

このAとCの関係のように順々に相続が起こることを「数次相続」といいます。

この場合、本来であれば、

①まず先に亡くなっている祖父Aの相続人全員での相続登記を行い、

②次に父Cの相続人全員での相続登記をすることになり、

2回の登記が必要です。「不動産の権利が変動したときには、きちんとその流れを記録してくださいね」という趣旨です。

つまり、登記の際の税金も2回分必要になります。

 

しかし、例外があります。

 

①のAの相続について、協議の結果、依頼人Eの父Cが、不動産を単独で相続したということで話がまとまれば、

「祖父A→父C→子E」という一本線のシンプルな流れになるので、

特別に、「祖父A→子E」という形で、間の父Cを省略した登記が許されます。

一方で、仮にCの弟Dが、Aの不動産の所有権を欲した場合は、

「祖父A→父C and/or おじD→子E」というように、真ん中で分かれしてしまい複雑になるので、きちんと一つ一つ登記しなければいけません。

 

今回の場合、①②すべての相続に関わる相続人全員で協議を行い、「祖父A→子E」に一発で名義を変更することができました。

 

相続人としての権利を持つ人「全員」(今回は10人ほどおられました)の署名押印が必要になるため、場合によっては非常に困難になります。

 

最後に、補足になりますが、昨今は法務局でレクチャーを受けられることもあるためか、ご自身で登記を試みる方もおられます。本件の依頼者様も、弊所に相談にいらっしゃる前に、父Cの相続について、ご自身で登記手続きをなされていました。

 

ところが、不動産の把握に漏れがあり、全ての不動産の名義変更ができていませんでした。

 

今回、ご相談いただけたことがきっかけで、この事実が判明し、無事にすべての物件の名義変更をすることもできました。自分でやってみようという試みは素晴らしいことなのですが、実際にやってみると難しいことが多々あることも現実のようです。

 

このように、相続登記をほったらかしてしまったり、無理に自分でやろうとすると、後々面倒になったり、余計な労力を使ったり、必要以上の出費をして、高くついてしまったりすることがあります。また、来年からは相続登記が義務化され、きちんと相続登記をしておくことの重要性は、さらに高まることでしょう。

もし心当たりや気になることがございましたら、ぜひ一度弊所までご相談ください。

 

その他相談解決事例