Case
事例
母が亡くなり相続登記をお願いしたいのですが、私の兄が長年音信不通で、今どこにいるのかも分かりません。それでも大丈夫でしょうか。
結果
音信不通だったご兄弟の状況をつきとめ、相続登記を行うことができました。
コメント
相続が発生し、相続人が複数いる場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産の振り分け方を決めなければいけません。相続登記を申請し、相続人の誰かに不動産の名義を変更する場合も、その遺産分割協議を行った証として、相続人全員が署名捺印をした遺産分割協議書を作成し、法務局に提出する必要があります。
その際、相続人の中に音信不通で消息不明の方がいて、ご本人からすぐに署名捺印をいただくことが困難な場合は、遺産分割協議も遺産分割協議書の作成もできないので、相続登記もできません。「せめて、消息不明の家族の現在の住所が分かれば…」と思いますよね。実は、相続人の住所を調べることは可能です。
相続登記の申請を含めて、相続の手続きには、多くの場面で被相続人や相続人の戸籍謄本等が必要になります。被相続人が本当に亡くなっているのか、誰に相続人の資格があるのか、相続人の資格がある人は現在も健在であるのか、ということを証明するためです。戸籍謄本等は対象者の本籍地が分かれば、取得することができます。それぞれの本籍地については、依頼者の住民票の本籍地の記載や被相続人の戸籍等から順に辿っていくことによって、最終的には相続人全員の現在の本籍地を知ることができます。
戸籍には、本籍地の記載はありますが、住所の記載はありません。ですので、音信不通の兄弟の本籍地が分かり、戸籍を取ったところで、一見住所は分からないように思えるのですが、実は戸籍には「附票」というものがあります。
戸籍を取得する際に対象者(今回であれば、音信不通のご兄弟)と本籍地を指定しますが、その際に「附票」を一緒に請求すると、対象者がその本籍地に本籍を置いている間の住所が、全て記載された書類が出てきます。それが、戸籍の附票です。
つまり、戸籍を辿り、消息不明の兄弟の現在の本籍地が判明したら、その本籍地で戸籍の附票を取得すると、最新の住所も判明します。 本件では、このように調べていった結果、残念なことに、ご兄弟が既にお亡くなりになられていることが判明しましたが、残りの相続人で遺産分割協議を行い、相続登記を完了しました。
中には、弊所での手続きがきっかけで、長年疎遠になっていた兄弟と連絡が取れ、大変喜ばれる方もいらっしゃいます。人生の充実、幸福には、円満な人間関係は欠かせないものだと思いますので、弊所の働きがきっかけとなって、ご家族同士が再び関係を取り戻すことは、私どもがこの仕事をしていて最も幸福を感じる瞬間でもあります。
このように、音信不通の家族がいるというような一見どうしようもなさそうな場面でも、意外にできることもあったりします。もし心当たりや気になることがございましたら、ぜひ一度弊所までご相談ください。
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