Case
事例
ある日、東北地方の市役所から、封書が届きました。
内容を確認すると、以下のことが書かれていました。
・母方の祖母名義の不動産がある。
・相続人として、境界の立会いをしてほしい。
母も亡くなっており、母方の親族とも一切交流がありません。
相続放棄をしたいのですが、可能でしょうか。
結果
相続放棄をすることができました。
コメント
依頼者は、突然、このような通知が来たため、大変びっくりされたそうです。
市から届いた資料を確認すると、祖母名義の不動産が2筆(うち1筆は、20名の共有地)存在する旨の記載がありました。
早速、登記簿を確認したところ、大正時代に祖母が不動産の名義人になっている旨が記載されていました。
依頼者に確認したところ、依頼者の母は、20年以上前にお亡くなりになられてました。また祖母は、昭和10年代後半にお亡くなりになられていました。
また、依頼者は、母の生前に、以下の話を聞いてらっしゃいました。
・祖母は、母が小学生の頃に亡くなった。
・祖父は祖母よりも先に亡くなった。
・母は、兵庫県内で生まれ育っている。
・祖母が東北出身であることは聞いていた。
・祖母名義の不動産がある話は、母からは一切聞いたことはなかった。
依頼者のご意向を確認したところ、母方の親族と一切付き合いもなく、東北地方の不動産を管理していくこともできないので、相続放棄をしたいとのことでした。
そこで、相続放棄の申述を家庭裁判所にすることになりました。
相続放棄をする場合、被相続人である祖母の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出する必要があります。
しかし、今回、被相続人である祖母の住所を証明する書類が、保管期間経過のため、一切取得することができませんでした。
家庭裁判所に状況を説明し、登記簿に記載されている『東北地方の住所地を管轄する家庭裁判所』に書類を提出することになりました。
通常、相続放棄は、『自己のために相続の開始があったことを知った時』から原則3ヶ月以内にする必要があります。
ただし、今回のケースのように、被相続人の財産や借金があることが全くわからないにも関わらず、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に相続放棄をしないといけないとなると、相続人は予期せぬ多額の債務を背負い込むことになります。
そこで、そういった事態を避けるため、ある一定の要件を満たした場合は、財産又は債務を知った時から3ヶ月以内に相続放棄をすることが認められています。
また、祖母の相続手続きについて、依頼者の母は何も知らないまま亡くなっていたようでしたので、今回の場合、相続放棄の起算点としましては、市役所からの封書が依頼者の元に届いた日となりました。
このように、色んな事情により、相続放棄の期限となる3ヶ月の起算点(スタート時点)は変わってきますので、慎重に判断する必要があります。
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