相談解決事例

Case

相続放棄をしないとダメでしょうか?

事例

4ヶ月前、ほとんど付き合いのない伯母(父の姉)の娘から、『この度、母が亡くなりました。』との連絡がありました。

その後、音沙汰が無かったのですが、2,3日前、その娘から手紙が届きました。

手紙には、以下の内容が書かれていました。

・母(伯母)には、かなりの額の借金がありました。

・私は、母の相続放棄の手続きをしました。

・相続放棄申述受理証明書の写しを同封します。

・あなたと弟さん(依頼者)は、第3順位の相続人にあたります。

・債権者(金融機関等)から借金返済の督促等が来ると思います。

・すぐに相続放棄の手続きをして下さい。

 

私達は2人兄弟です。父は既に他界しています。

私達は、父に借金があったため、10年前に亡くなった父の相続放棄の手続きをしています。

この度、伯母の娘から相続放棄するように言われてますが、父の相続放棄をしていても、私達は、伯母の相続放棄の手続をしないとダメでしょうか?

結果

家庭裁判所へ相続放棄の申述受理手続きを行い、無事受理されました。

コメント

結論から申し上げますと、依頼者のお二人は、たとえお父様の相続放棄をしていたとしても、伯母様の相続については、お父様を代襲して相続人となります。

 

そもそも代襲相続とは、推定相続人である子又は兄弟姉妹が、相続の開始以前に死亡し、相続権を失った時に、その者に代わって相続することをいいます。

 

今回の事例に当てはめた場合、依頼者のお父様が生きていれば、お父様が伯母様の相続人となりますが、お父様は伯母様が亡くなる以前に死亡されているため、お父様に代わって依頼者お二人が相続することになります。

 

今回の相続放棄に当てはめますと、依頼者ご兄弟が10年前相続放棄をしたのは、父の相続に関するものであり、父の代襲相続人となる地位まで放棄したわけではありません。

 

根拠として、民法第939条が挙げられます。

 

(相続の放棄の効力)

第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

「その相続」に該当するのが、今回のケースでいえば「お父様の相続」となります。

ですので、『お伯母様』の相続を放棄するかどうかは、また別の話となります。

今回、依頼者のお二人がご来所された時点で、伯母様がお亡くなりになられてから、4ヶ月以上経過しております。

原則、相続放棄は、相続人が亡くなったことを知った時から3ヶ月にしないといけないとなっています(民法915条)。

但し、今回のケースの場合、借金があることを知ったのが伯母様の娘さんからの手紙でしたので、

①その手紙を読んで借金があることを知り、かつ、②先順位の相続人全員が相続放棄をしたことを知ったという①②の要件を満たす必要があります。

ですので、今回は、この①②の要件が揃った時点から無事3ヶ月以内に家庭裁判所に申述を行い、無事受理されました。

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