相談解決事例

Case

遺言で指定された財産を放棄したいのですが。

事例

伯父が亡くなりました。伯父は公正証書遺言を遺していました。
遺言には、甥である私に、不動産を全て遺贈すると記載されていました。
先日、遺言執行者から、不動産を譲り受ける意思があるかどうかの確認の連絡がありました。
遺言執行者から通知を受けた遺産目録を確認したところ、叔父所有の不動産は、農地や山林など維持管理するのが大変な不動産ばかりでした。
私自身、高齢のため、不動産を引き継いだとしても、将来にわたって維持管理していくのが難しい状況です。
不動産を譲り受けたくないのですが、どうすればよいでしょうか?

結果

家庭裁判所で、包括遺贈の放棄をしました。

 

コメント

依頼者は、亡くなられた伯父から何も聞かされてなかったので、遺言執行者からの連絡に驚かれたとのことでした。

また、伯父が不動産を所有していることは知っていたそうですが、農地や山林をたくさん所有していることまでは、知らなかったそうです。

遺贈とは、遺言によって、遺産の全部または一部を遺すことをいいます。

また、遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。

包括遺贈とは、遺産の全部あるいは一部を割合で遺すことをいい、特定遺贈とは、遺産中の具体的な特定財産を遺すことを言います。

今回、依頼者がお持ちの遺言書を確認したところ、包括遺贈であるとの判断となりました。

包括遺贈の場合、包括受遺者(包括遺贈を受ける人)は、相続人と同一の権利義務を有することとなる(民法990条)ため、もし、そのもらう権利を放棄する場合は、相続人と同じように、自己のために遺贈の効力が発生したことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に包括遺贈の放棄を申述する必要があります。

ちなみに、特定遺贈の場合は、家庭裁判所に申述する必要もなく、3か月の期限もありません。

依頼者は、遺言執行者からの通知がきてから、3か月が経ってなかったので、すぐに包括遺贈放棄の手続きを、家庭裁判所に申述しました。

このように、遺言の内容によって、家庭裁判所に申述しないと放棄できないことがありますので、判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。

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