Case
事例
権利証を紛失したのですが、相続登記はできますか?
結果
権利証を使わずに相続登記手続きを行いました。
コメント
ご相談の際に、「家の権利証を紛失してしまった」というお客様がよくいらっしゃいます。
ここで、権利証とは、正式には「登記済証」という書類のことで、登記が完了した際に、法務局から不動産を取得した人(買主や相続人)に交付された書面のことです。
ちなみに、平成17年の改正法施行以降、登記済証がなくなり、「登記識別情報」というパスワードが発行される形式に変わりました。
権利証は、自分が持っている不動産について、自分が所有者だという証明をすることができるもので、たとえば所有者が売主となって売買の登記をする場合には、権利証を法務局に提出することで、本人確認の手段として使われます。
再発行はできません。
要は、売主として「申請した人が所有者本人なのか」ということを、権利証をもって確認しているということです。
それでは相続登記のときに必要かどうかですが、原則的には不要です。
これは、相続登記では不動産の所有者が既に亡くなっていることから、亡くなった本人が申請するということがないので、「申請した人が所有者本人なのか」ということの確認が不要であるためです。
よって、亡くなった方名義の不動産の権利証を紛失していたとしても、相続登記の申請自体は問題なく行うことができます。
もっとも、先ほど「原則的には」とお伝えしたとおり、例外的に相続登記でも権利証を使用する場面があります。
それは、今回の被相続人が、相続登記申請のあった不動産の所有者であることを証明するときです。
つまり、相続登記は相続人が単独で申請するものなので、間違って被相続人とは別人が所有している不動産の登記申請が行われていないかを確認する必要があります。
この確認方法ですが、不動産の所有者としては、登記事項証明書(登記簿)に住所と氏名が記載されています。
相続登記の際、この登記事項証明書に記載されている人が亡くなったということを示すため、住所と氏名が記載されている被相続人の住民票(戸籍の附票)を提出することが基本です。
亡くなっている人の氏名と住所が、登記事項証明書と住民票等で一致していれば、「この不動産の所有者として登記事項証明書に載っている人は、今回亡くなった人で間違いない」ということが明らかとなります。
ただ、亡くなってから年数が経ってしまったりして、住民票等が取得できないことがあります。
その時に、被相続人が所有者であることを証明する手段として、権利証を提出することがあります。
すなわち、本人しか持ちえない権利証を相続人が持っているということであれば、被相続人が所有者であることは間違いないだろうということです。
もし、住民票が取得できず、権利証も紛失している場合には、また別の手段で被相続人が所有者であることを証明することが可能なのでご安心ください。
今回のお客様の場合、被相続人が持っていたはずの権利証は紛失されていたそうですが、住民票を取ることで、被相続人が所有者だということを証明できました。
よって、権利証や代替手段を使うことなく、スムーズに相続登記が完了しました。
権利証は大事な書類ですので、なくさないに越したことはないですが、なくなっていても登記手続きは進められることが多いので、その際は是非ご相談ください。
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