相談解決事例

Case

新規事業を立ち上げたいのですが…

事例

人材派遣の会社を経営しております。

このたび、新規事業として、職業紹介事業を立ち上げようと計画しています。

労働局に職業紹介事業の許可を申請するにあたって、会社の目的に、『職業紹介事業』の文言を追加するよう言われました。

会社の目的に『職業紹介事業』を追加する登記をお願いしたいのですが。

結果

目的変更登記を行い、会社の目的に、『職業紹介事業』を追加する旨の登記をしました。

コメント

 今回は、職業紹介事業の許可申請をするにあたって、目的の変更が必要でした。
一般的には、会社を設立する際、会社の目的を定め、登記されています。
しかし、当初定めていた事業以外の新規事業を開始することになった場合は、新規事業の内容を目的に反映(変更)させる必要があります。
 また、今回のケースのように、許認可等が必要な事業(労働者派遣事業、職業紹介事業、飲食店の経営、古物商、旅行業、宅地建物取引業など)については、その事業内容を目的に反映させておかないと、許認可等を受けることができなかったりしますので、ご注意ください。

会社の目的を定める際にも、一定のルールが存在します。

①具体性・・・どの程度、具体的に定めるかは、会社が自ら判断すべき事項であり、登記官による審査の対象とはならないとなっています。しかし、ある程度具体的に定めておかないと、実際何をしている会社がなのか、わからないため、会社そのものの信用にも影響が出ることになります。

②明確性・・・『語句の意義が明瞭であり一般人において理解可能なこと』となっております。ですので、意味不明な目的を定めたとしても、①同様、会社そのものの信用に影響が出ることになるので、明確な目的を定めることをおすすめします。

③適法性・・・法律や公序良俗に違反するような目的は、そもそも適法性を欠いているため、会社の目的とすることができません。例えば、「振り込み詐欺の代行業」、「密輸業」、「借金取り立て業」など、公序良俗に反するため、会社の目的にはふさわしくありません。また、資格が必要となる、「弁護士業」や「司法書士業」のように、他の法律に抵触する目的も不適格となります。

④営利性・・・株式会社は、株主へ配当することができる法人であるため、目的を定める際、営利性が求められます。また、利益が発生する可能性のある事業であれば問題ないとされていますので、確実に利益が発生する事業である必要はありません。ただし、「政治献金」のように、会社が利益を得る可能性が全くない目的は適格性を欠くものとされています。

このように、①~④に配慮し、会社の目的を定める必要があります。

目的変更登記の流れは、以下のとおりです。
①株主総会を開催し、定款変更決議を行う
②定款変更の内容を記載した株主総会議事録を作成する
③法務局に目的変更登記の申請をする

今回のケースのように、許認可等の申請や届出等が必要な場合は、事前に監督官庁や専門家に確認されることをおすすめいたします。

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