Case
事例
当職が成年後見人として就任していた方の事例です。
成年被後見人が死亡し、引継を行う必要がありましたが、唯一の相続人である成年被後見人の妹は相続放棄の手続をされ、相続人が不存在となりました。
また、引継手続きの最中に成年被後見人の亡父名義の不動産で、相続手続きがなされていないものがあることが判明しました。
結果
成年被後見人の相続手続きのために相続財産清算人選任申立をしました。
亡父名義の不動産については、相続財産清算人と成年被後見人の妹が遺産分割協議を行い、亡父から成年被後見人名義に所有権移転し、その後、相続財産法人へと名義変更を行いました。
コメント
亡くなった方の相続人が誰もいない場合に、その方が残された財産を処理していくためには、相続財産清算人に手続きをしていただく必要があります。
相続財産清算人は自動的に選ばれるわけではなく、家庭裁判所への申立が必要になります。
家庭裁判所の管轄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となり、申立人は利害関係人と検察官となっています。
また、相続財産清算人選任申立を行う場合、家庭裁判所から官報公告料や場合によっては予納金(多額になることもあります)を納付する必要があります。
今回のケースでは、当職が元成年後見人であり利害関係人として申立を行いました。
また、成年被後見人の妹は成年被後見人の相続については放棄の手続きをなされましたが、亡父の相続についてはすでに熟慮期間の三ヶ月が経過していたため、相続放棄ができませんでした。
そのため、亡父の相続については、成年後見人とその妹が相続人として手続きをする必要がありました。
そこで、相続財産清算人と成年後見人の妹が遺産分割協議を行い、成年被後見人が亡父の不動産を相続することとなりました。
そして、相続人がいらっしゃらない方で不動産を所有されている場合、不動産の名義を相続財産法人に変更する手続きが必要となるため、亡父名義を成年後見人名義とした後に、相続財産法人へと名義変更する登記を申請しました。
相続人がいらっしゃらない方の相続手続きは上記のようにいろいろな手続を行う必要があります。
そのため、相続人がいらっしゃらない方は、元気な間に遺言などの対策を検討されることをおすすめします。
その他相談解決事例