相談解決事例

Case

遺言書に記載の遺言執行者を変更することはできるのでしょうか?

事例

私達夫婦には子どもがいません。

どちらかが先に亡くなったとき、遺言書がないと相続手続きが非常に煩雑だと聞いたので、数年前、公証役場で、公正証書遺言を作成しました。

私の遺言では、妻を遺言執行者に指定し、妻の遺言では、私を遺言執行者に指定しました。

遺言作成当時は、私たち夫婦がお互いの相続手続きをしたらいいと考えてましたが、友人や近所の方などから、「相続手続きは専門的で大変だ。」「心身ともに大変な負担だった。」などの話を聞くうちに、自身が遺言執行者として、執行手続きをしていく自信がなくなりました。

遺言執行者を変更することは可能でしょうか。

 

結果

遺言の内容に変更はなかったので、遺言執行者の部分のみ、弊所に変更する内容の公正証書遺言を新たに作成しました。

 

コメント

遺言者(遺言を遺した人)が亡くなった後、自動的に遺言書の内容が実現するわけではありません。

遺言書の内容にしたがって、実際に財産分けをおこなっていく必要があります。

この「遺言書の内容にしたがって、実際に財産分けをおこなう」行為を遺言執行といい、この取り仕切りを行う人が「遺言執行者」になります。

遺言執行者は、遺言の内容を実際に実行し、相続人間の調整や登記・名義変更といった煩雑な手続きを行う非常に重要な役割です。

身近な家族を遺言執行者に指定する方もいらっしゃいますが、その場合、精神的・時間的な負担が予想以上に大きくなることがあります。特に配偶者を指定していると、相続の場面ではその配偶者自身も相続人となるため、他の相続人とのやり取りや手続きを進めることに大きなストレスがかかることがあります。

 

今回のご夫妻も、「もしどちらかが亡くなった場合、負担が集中してしまうのではないか」という不安を抱えていました。

専門家を遺言執行者に指定することで、相続人は手続き面の負担から解放されます。

 

また、遺言の一部変更についても、慎重に対応する必要があります。

遺言内容の変更がきちんとできていない場合、遺言執行の場面で、適切に手続きが進まなくなる場合がありますので、ご注意ください。

 

遺言は「一度作れば終わり」ではありません。家族の健康状態、関係性、財産の内容に変更があった場合は見直しが必要なケースが多いです。

今回のように、遺言執行者の指定を専門家に変更することも、家族への思いやりを形にする大切な方法のひとつです。

 

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