相談解決事例

Case

現金と現金以外の資産を出資して、株式会社を設立したいのですが。

事例

現在、個人で美容室を経営しています。

この度、顧問税理士から法人化を勧められ、株式会社を設立することになりました。

また、先日、知人から、美容室にある物品などの資産を出資金に充てることができると聞きました。

現金と物品等の資産を出資金に充てて、株式会社を設立したいと考えてますが可能でしょうか?

結果

会社設立日に法務局へ申請し、3日後に設立登記が完了しました。

コメント

株式会社を設立するにあたって、まず発起人を決める必要があります。

発起人とは、会社に対してお金を出す人のことです。

この発起人は会社法第25条に基づいて、「株式会社の設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない」と決められています。

そのため、発起人は会社に対して出資を行い、株式の交付を受けることになります。

 

一般的に、自己資金のみで会社を設立される方が多いですが、中には、依頼者のように、現金ではなく、金銭以外の資産を出資する場合もあります。

この金銭以外の財産を出資することを現物出資と呼びます。

今回の場合は、現金200万円及び美容室にある物品等の資産100万円を出資して、資本金に充てることになりました。

このように、金銭及び金銭以外の財産のどちらとも出資して、資本金に充てることも可能です。

現物出資をすることができるのは、発起人に限られます。

また、定款に記載する現物出資財産の価額は、厳密な時価ではなく、発起人が当該財産の価額として合意した価額となります。

 

ちなみに、例を挙げますと、以下のような資産が、現物出資の対象になると考えられます。

 

・事業用工作機械、パソコン、OA機器 等

・有価証券(上場株式や非上場株式等) 等

・ゴルフ会員権 等

・不動産(土地又は建物) 等

・自動車、バイク、建設機械 等

 

【現物出資を行うための要件】

現物出資を行う場合、原則、裁判所に検査役を申し立てる必要があります。

申立後、裁判所より弁護士、公認会計士等が検査役として選任され、現物出資の価額内容について調査が行われます。

ただし、一般的にこの方法では時間も費用もかかるため、検査役の選任が不要になるケース(会社法第33条)で現物出資を行う方が多いです。

 

【現物出資で検査役の選任が不要となるケース】

①現物出資する資産の総額が500万円以下である場合

②現物出資する資産が市場価格のある有価証券であり、定款に記載された価額が市場価格以下である場合

③現物出資する資産について、定款に記載された資産の価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士等の証明を受けた場合

※不動産に関しては不動産鑑定士の鑑定評価が必要

 

今回の依頼者のケースは、①に該当したため、検査役の選任が不要となりました。

 

現物出資で会社を設立する場合は、設立後のキャッシュフローも検討する必要があります。

そういった場合、税理士などの専門家に、設立前から関与してもらいながら、設立手続きをすすめることをおすすめ致します。

その他相談解決事例